
2025年12月6日(土)-14日(日)・2026年1月7日(水)-18日(日)
12:00-19:00 (日 -17:00)
月・火 休
Yoshimi Arts(大阪市西区江戸堀1-8-24 若狭ビル3F)
上出惠悟は1981年石川県生まれ、2006年東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻を卒業。磁器の成形や手仕事による絵付に卓越した技術をもった職人達を率いる九谷焼窯元・上出長右衛門窯の六代目として、窯のディレクションを行いながら、個人としても作品を発表しています。
これまでYoshimi Artsでの個展「幽谷」(2011年)、「游谷」(2013年)、「硯海の貝」(2014年)や、「楽園創造(パラダイス)-芸術と日常の新地平- vol.3 上出惠悟」(gallery αM 2013年)などにおいて、上出は自身の出自である九谷焼を俯瞰的に捉え、東洋で始まった磁器の歴史を背景に、神話的ともいえる手法で磁器が内包する時間と場所について探求してきました。
その後、「山の熊か、熊の山か」(松坂屋名古屋店美術画廊 2015年)、「熊居樹孔」(Yoshimi Arts 2016年)と続く個展群では、自身の置かれた環境や想いを“熊”というモチーフに重ね合わせました。「わすればなん」(東京日本橋髙島屋美術画廊X 2017年)では、東京藝術大学の卒業制作以来手がけてきた「甘蕉」シリーズを深め、「磁彫展」(横浜髙島屋美術画廊 2018年、松坂屋名古屋店美術画廊 2019年)では、幼少期に親しんだ彫刻の手法を磁器という素材に用いることで、自己との対話を深め、記憶という心の奥底に触れる試みを行なっています。
翌2019年には、約150年の歴史をもつ自身の窯元が手がける湯呑や茶碗などの製品をモチーフに、磁土を高精度な温度調整で焼成した作品《静物》を発表(「第14回パラミタ陶芸大賞展」(パラミタミュージアム)、個展「静物/Still Life」(Yoshimi Arts))。さらに、パンデミックの最中に開催された個展「0years」(Yoshimi Arts 2020年)においては、人と会うことが難しくなった状況下で、身体性を取り戻すようにさまざまな素材と向き合い、この時代への応答としての展覧会を行いました。
他には、2018年からは磁器板に絵付を施した作品を「瓷板画」として発表しており、これまでに「声」(2018年)、「瓷板画展 II THE HOUSE OUTSIDE THE HOUSE 家の外の家」(2020年)、「瓷板画展 III Under | Over」(2022年)、「瓷板画展 IV SYNERGY」(2024年)(全てt.gallery)と、各回テーマを設けながら継続的に取り組んでいます。
また、大学卒業後に時折制作していた油画にも、2024年より本格的に取り組み始めました。展覧会としては、「IZURA」(東京藝術大学 藝大アートプラザ 2024年)、グループ展(大徳寺瑞峰院 2024年、2025年)に参加し、「GO FOR KOGEI 2025」(金沢市、富山市 2025年)では、卯辰山にまつわる歴史を丹念に調査した大作《卯辰山展望台》を発表しました。
本展「B-P-F」では、「磁彫」「静物」に通じる彫刻的思考のもと、窯元の製品を重ね合わせ、釉薬を施し焼成することで一体化させた新たな彫刻作品を展示いたします。
アーティストステイトメント:
《B-P-F》 は、石川県の伝統工芸である九谷焼の産地で製造・流通されている磁器製食器の素地を用いた 彫刻作品である。積み重ねた食器は、釉薬(装飾)を施し、焼成するという不可逆のプロセスの中で、色味、質感、形状、寸法、強度の変化を生む。タイトルはBuilding(積重)、Processing(加工)、Firing(焼成)の頭文字を取って《B-P-F》 とした。
